介護福祉士実務者研修が出来た背景

背景と位置付け

介護職として働いている人の資格といえは、介護福祉士がまず思い浮かびます。
この介護福祉士は、介護系の資格では唯一の国家資格です。

 

実務者研修設立の背景

 

介護福祉士になるためには、かつて複数のルートが存在していました。
それは、受験資格を得なければ受験できない資格のためです。

 

1つの資格を得るために複数のルートがあるのでは受験の際の手続きが煩雑になってしまいます。
また様々な受験ルートがあるために、介護福祉士になる人の技術レベルや知識レベルにバラつきが出てしまうという問題点もありました。

 

そうした問題点を解消しようと、これらを一本化する構想の下に生まれたのが介護福祉士実務者研修なのです。

 

国家資格保有者の質を担保する研修

複数の受験資格取得ルートがあった従来の制度では、介護福祉士を受験する際の受験者のレベルがバラバラでした。

 

受験資格の1つに実務経験3年以上というものがありますが、これすらも全ての受験者が満たしているわけではなかったのです。
例えば介護福祉士の養成校となっている専門学校を卒業した人は、卒業と同時に介護福祉士と名乗ることが出来ます。

 

または福祉系の高校の専攻科などでは、取得単位によって実務経験年数が軽減されたりします。
かつては介護福祉士の人数をとにかく増やしたい国の方針によって、このような優遇策とも取れる制度が存在していました。

 

ですが、介護職の待遇の改善や、そのための介護職の能力やサービスの向上を目的として、すべての人に「3年以上の実務経験プラス介護福祉士実務者研修の修了」を義務付ける現行制度へと変更されました。

 

制度の変更に伴う試験制度の変更点

かつての介護福祉士では筆記試験と実技試験があり、このうち実技試験は免除になる講習が用意されていました。
新制度では、実務者研修の修了が必須となり、実技試験が廃止されました。

 

これに伴い、旧制度の試験を受ける際にも実務者研修の修了者については、実技試験の免除がされるということになりました。
残り少ない旧制度で合格する自信が無い場合には、前もって実務者研修を修了しておく方が安心できるかもしれません。

 

最新の情報をチェック

実務者研修や介護福祉士の試験を受講しようと検討を始める時には、

  • 資格スクールの資料
  • 厚生労働省のホームページ

などで、必ず最新の情報をチェックするようにしてください。

 

なぜなら、介護業界は発展途上なので頻繁に法律や資格制度の変更が行われるからです。
また、「行われる」と発表された後でも、現場に近い団体からの要望や抗議を受け入れて、厚労省が延期を行うことも度々あります。

 

なので、正確な受験資格や試験内容を入手する為に、資格スクールの資料をチェックされると良いと思います。
厚生労働省のHPは、業界の方でなければ内容が難しく感じるかもしれません。

 

実務者研修の位置付け

介護福祉士に至る道の中で、かつては介護職員基礎研修というものがありました。
これは現場で1年程度の経験を積んだ介護職の方が、現場経験と体系的な知識を結びつけるために作られました。

 

実務者研修の位置付け

 

また、経験があるという前提に則って、サービス提供責任者になることも可能とする資格でした。
介護福祉士実務者研修は、この基礎研修と同じ位置づけの研修にはなっているのですが正式には資格ではありません。

 

あくまで介護福祉士の試験を受けるための必須条件の1つという位置づけに過ぎないのです。
資格ではなくても、基礎研修と同様、サービス提供責任者にはなることは可能です。

 

ただ、それだけでは無資格の状態なので、実務者研修修了者は介護職員初任者研修の修了者と同等とみなされます。
初任者研修は従来のヘルパー2級と同等の位置づけの資格にあたりますから、制度上も問題なく運用できるようになります。

 

従来のヘルパー1級より上位の研修という位置づけ

従来の基礎研修と同等の位置づけである実務者研修ですが、この位置づけは従来のヘルパー1級よりも上位ということになります。

 

しかし、それでは旧制度下での資格ごとの差別化ができないため、実務者研修を受講する上では免除科目の創設ということで対応しています。

 

無資格の状態で実務者研修を受講する場合、450時間の研修が必要となりますが、受講者が取得している資格によって、その免除科目が異なります

 

もちろんヘルパー1級や基礎研修を持っている人は、ごく一部の科目のみ受講すれば修了できますが、ヘルパー2級や初任者研修を持っている人でも130時間程度の免除が得られます。

 

実務者研修を受講する人は、介護福祉士の国家試験の受験を前提としているため、ある程度の現場経験と基礎的な知識は身に付けているはずであるという前提でカリキュラムが組まれています。

 

ですから、介護の仕事に従事する上では必須の、基礎的な介護技術に関しては実技の授業がまったくありません。
基礎知識についてもスクーリングではなく、ほとんどがレポート課題という形です。

 

スクーリングで行う内容は、アセスメントなどの管理者に近い業務や、医療的ケアについての講義・実技演習となります。
ヘルパー1級よりも上位の位置づけというのは、こうしたハイレベルな内容の研修であるということでもあります。

 

初心者の方にはお勧めできないというのは、講義の内容からもそうなっています。
まずは介護職員初任者研修から始めて頂きたいと思います。