利用者さんからお願いされてもできないこと

介護保険ではできないこと

介護保険には、

  • 訪問介護に当てはまる(介護報酬として算定できる)行為
  • そうでない行為

の2種類があります。

 

しかし、現場でケアを行っているとスッパリとルールで割り切れない色々なケースがあり、サービス提供責任者としては、そこの部分をどのように対応すればよいか大変悩みます。

 

介護保険の中でできること・できないこと

生活援助

生活援助にはいるヘルパーの声で多かったのは、ケアの時に利用者から決められた内容以外の注文を受けることです。

 

例えば、日常の掃除は介護保険で認められますが、大掃除大がかりなものや日常生活に必要でない家事などの雑用はできないとなっています。

 

しかし、利用者からは、

  • ついでに庭の草むしりをしてくれないか
  • 電球を換えて
  • 窓を拭いて
  • 網戸を洗って
  • 猫の餌を補充して
  • 隣の部屋も掃除して

など家事を家政婦にお願いするような感覚で要望を言われることが多々あります。
しかし、これらは介護保険ではできないことになっています。

 

窓拭きは介護保険ではできない

 

ヘルパーにとっても少しの時間ならできることかもしれません。
黙っていれば分からないことかもしれません。

 

なので「断って関係を悪くしたくない」という葛藤が起きます。
しかし、一度聞いてしまうと、要求はエスカレートするでしょうし、本来の目的からもズレてしまいます。

 

私は、サービス提供責任者として、そのような要望があったことをケアマネジャーに伝え、ケアマネから説明してもらうようにしました。

 

ただ、利用者にとっては、その掃除は必要なことです。
なので、自分でできる人はするべきなのです。

 

しかし、自分でしたくてもできない人もいます。
それが分かっているからこそ、とても辛い気持ちになりました。

 

さすがに身寄りがなく一人暮らしの方で、電球は切れてしまっては危険だと思い、サービス提供責任者として訪問した際に換えたりしていました。

 

身体介護

身体介護でも、できる部分、できない部分の組み合わせで調整に大変苦労しました。
一番苦労したのは通院介助です。

 

ひとりで通院できない利用者を病院まで連れて行くこと、

  • 院内の移動
  • トイレ介助

は介護保険で認められますが、院内での待ち時間や診療の時間は介護保険の対象になりません。

 

しかし実際は病院はただ待っているだけの時間が多く、移動する時間、トイレなどの介助の時間は少しです。
大きな病院ともなると、何時間も待つこともあります。

 

その間介護保険が算定できず、それを省いた時間しか介護保険の請求ができない訳です。

 

そうなれば、介護保険の報酬は事業所には入りませんし、ヘルパーに事業所が持ち出しで給料を支払うというのは現実的に厳しいことでした。

 

ですので、大きな病院で待ち時間が長くなる場合の通院介助はサービス提供責任者がいく等で対応していました。

 

実際にケアに入ってみれば、介護保険の定め通り一辺倒にいかない部分がたくさん出てきて、中には理不尽なこともあり悔しい思いをしたこともありました。

 

しかしこればかりは仕方ありません。事業所内で対応を話し合ったり、ケアマネとプランについて再度話し合ったりして、その都度対応していきました。

 

課題の解決のために

介護保険で算定できる行為・できない行為については、実際ケアに入ると入り交じっていることがあり大変悩みます。

 

しかしその課題の解決に向けて、新たなつながりができることもあると感じます。

 

電球が切れて数日間過ごされた利用者様

介護保険でできない行為の中に、「電球の取り替え」があります。

 

私がサービス提供責任者をしていた時、身寄りがなくひとり暮らし高齢者の方がおられたのですが年末にちょうど電球が切れてしまいました

 

電球切れの場合は?

 

そして年末年始ヘルパーが入らない予定になっており年始を迎えて訪問すると、数日真っ暗で暮らしていたと聞き大変危険だったなとヒヤリとしたことがあります。

 

そのことがあってから、私はすぐにケアマネに連絡をとり相談しました。

 

普段のご本人とのやりとりから、家族、親戚はいない人でしたが、ご近所で気にかけてくれている人がいることが分かり、本人の同意を得て日常生活の中での困りごとについて、ご近所の方も交えて話をする機会がうまれました。

 

地域住民と共有したことでできたつながり

ケアマネが招集し、

  • ご近所の気にかけてくださる方
  • 民生委員など地域住民
  • サービス提供責任者
  • ご本人

で話をしました。

 

その中でご本人からは今回のように電球が切れても交換できなかったり、また弱視であるため郵便物が読めないなどの困りごとがあることが分かりました。

 

また、ヘルパーが入っている曜日や時間もそこで共有しました。

 

そこから、ヘルパーが入っていない曜日を特に気にかけて、ご近所の方々が時々ご本人宅をのぞいてくださるようになりました

 

住民の方は「気にはしているけどヘルパーも入っているし関わらない方が良いのかな」という気持ちもあったようです。
このようなことがきっかけで、今まであいさつや軽い会話程度だったのが、より親しい間柄になることができました。

 

それは利用者本人にとって、「電球を交換してくれる人ができた」ということだけではなく、同じ地域に住む人のつながりであり、とても嬉しく、心強いことだったようです。

 

介護保険や、その他公的なサービスだけではカバーしきれないサービスの「狭間」の課題はたくさんあります。
しかし、地域のつながり、お互い様の関係作りは、その狭間を埋めるひとつの大きな力なのだろうと思うのです。