再就職に向けてヘルパー2級を受講したら、介護福祉士になりたくなった
専業主婦歴が15年が過ぎた頃、私は再就職に向けて何か資格を取りたいと考えていました。
結婚前に就いていたデザイン系の仕事は、時間も不規則で体力的にもかなり厳しいし、何より40代という年齢で、まずはねられてしまうでしょう。
どうせなら今後も長く続けられ、やり甲斐のある仕事が良い。
とはいえ、いったい何が出来るだろうと悩みながら買った求人雑誌には、偶然にも『ホームヘルパー』の仕事が特集されていました。
ヘルパー2級の取得を決意
これだ、と特に思ったわけではなかったのですが、少し心に引っ掛かり、とにかく資料請求だけでもしてみようと思い、その日のうちにハガキを投函。
数日で届いた資料をくまなく読んだ私は、まず講習費の高さに頭を抱えました。
まさか10万円もするとは…。
それに、果たして私に出来るだろうかという不安もあります。
さんざんどうしようと迷いましたが、でももしかしたら、お金で買えないものが得られるかもしれません。
半ば無理矢理そんな風にこじつけて、私はヘルパー2級講習を受けることを決意したのでした。
親の介護が不安
そもそも、ヘルパー講習を受けようと思った動機は、介護の仕事に就きたい、興味があるといった前向きなものとは、どちらかといえば正反対でした。
ちょうど育児がひと段落し、ふと周りを見れば、既に両親の介護をしている友人たちの姿がちらほら見られます。
「育児の次は介護よ」なんて脅されながら、改めて両親を見れば、元気とはいえ、もう80歳目前。
いつ自分の身に「介護」の二文字がのしかかってくるかわからない。
それまで漠然と抱えていた両親の介護への不安が、次第に現実的なものとなってきていることを実感しました。
私には兄弟がいませんし、仕事人間の夫は、元よりあてに出来そうにありません。
それに『介護』といわれ、頭にまず思い浮かぶ印象といえば、
- つらい
- 重荷
- 疲労
- 孤独
と、とにかく明るいイメージは一つもありません。
ならば、いつか来るその時をびくびくと待つよりは、まだ両親が健康でいるうちに介護を勉強して、一つでも不安を減らしておいた方がいいんじゃないだろうか。
ヘルパー講習を選んだのは、再就職を考えてというより、そんな理由からだったのです。
介護福祉士を目指すことを決意!
意外だったのはヘルパー2級の講習を受けにきていた人の中に「すぐに介護の職に就く予定はない」と答えた方が半数近くもいたことです。
よくよく話を聞いてみると、皆、私と同じように親の介護不安を抱えており「少しでも負担を軽減したい」そんな思いの方ばかりでした。
私も同じような考えを持っていたので人のことは言えないのですが、でも実際に講習を受けてみて驚きました。
ヘルパー講習は、私の予想に反して、かなり楽しいものだったのです。
楽しかったヘルパーの講習
そして、すぐに自分の心境の変化に気づきました。
一つ勉強が進むごとに、介護に対する興味が湧き、逆に不安が消えていきます。
- 食事の介助
- 車椅子の操作
- 移乗
- ベッド上での衣類の着脱
- 手浴・足浴
- 口腔ケア
そして一番の不安だった排泄介助。
もっとも口腔ケアや排泄介助は、実際やってみるというわけにはいきませんので、説明が主でした。
それでも、知ると知らないのとでは大きな違いがあります。
こういう状態の時、いったいどんな風に対処すれば良いのか。
それがわかっているのとそうでないのとでは、天と地ほどの差があります。
知らなかったが故の不安は、講習が終わりに近づくにつれ、次第に薄れていくのがわかりました。
逆に、この仕事に就きたい。
そんな思いが沸々と芽生えてきます。
またヘルパー2級には、5日間の実習があり、実際の現場にも入りましたが、高齢者の方々の懐の広さとあたたかさにふれた私は、すっかりこの仕事の魅力にはまっていました。
介護福祉士になりたい
介護に纏わる資格が今後変わっていくだろうということは、その当時から既に示唆されていました。
「ヘルパー2級」という資格も、いずれ無くなる、もしくは別の形にとって変わるだろう、と。
※ヘルパー2級講習は、現在は介護職員初任者研修と名称を変えています
確かにこの時点で、ヘルパー3級は廃止、1級講習も「介護職員基礎研修」と既に名称を変えていました。
とはいえ、高いお金を払ってせっかく取得した資格が、無意味になってしまうなんて穏やかではいられません。
講習終了間際、講師の先生に向けて上記の不安をぶつける私たち受講生がいました。
先生はにこやかに、
「ヘルパーの仕事は、今後もなくなることはありませんし、一度取った資格が無効になるなんてことはありません。
皆さんはこれから、この講習で得た知識で現場に出て、経験を積んで、今度は介護福祉士を目指されたらいいんですよ」
と仰いました。
なるほど。
介護の資格は、今後「介護福祉士」に一本化されていくということですし、何といっても介護福祉士は国家資格です。
国家資格なら、どんな改正があろうと今後も揺るぎはないでしょう。
よし、介護福祉士をめざそう!
目先の不安を打ち消すように、私の目標は、あっさりと3年後の介護福祉士受験へと向けられたのでした。
次は「介護福祉士受験までの流れ」です。