資格ではない実務者研修

資格ではなく研修

従来の介護職員基礎研修という資格と同等の位置づけとされる実務者研修ですが、どちらであってもこれらの講座を修了しても資格の認定はなされません

 

なぜなら、これらの研修が「介護福祉士の受験要件(受験資格)」の1つに過ぎないためです。
多くの人、特に学校職員でさえもこの事実を見落としがちです。

 

ですから、無資格の人が初めて研修を受講する場合、実務者研修を勧められない理由の1つもこのことがあげられます。

 

介護の仕事では、基本的には資格は法的には必須ではありません。
しかし事実上は最低限の資格である「介護職員初任者研修」を取得していないと就職が難しいのです。

 

また、訪問介護に従事する場合については、初任者研修以上の資格を持っていないと、一人で利用者さんの自宅へ訪問できないという制限もあります。

 

初任者研修よりも上位の研修という扱い

資格ではない実務者研修ですが、元々は初任者研修を修了後、実務経験をある程度積んだ後に受講するものと想定されていました。

 

そのため初任者研修よりも上位の位置づけになっています。
ただ、無資格・未経験でも受講可能な研修である上にとても高額なため、資格として使えないままでは介護の現場で支障をきたす恐れがあります。

 

そこで、実務者研修をのみを修了している人については、初任者研修を修了したものとみなす措置が取られました。
このことによって、実務者研修を修了すれば、初任者研修の有資格者として介護業務に従事することが可能となります。

 

同等の資格という問題点

しかし、それでは無資格の状態から受講した人が、無資格のままサービス提供責任者になれてしまうことになったり、一人で訪問介護に従事することが出来ないままになってしまいます。

 

それでは現場においては支障が出ますので「介護職員初任者研修修了と同等とみなす」という扱いになります。

 

実務者研修のみを修了した場合、資格を証明する資格証がありません。
この研修を修了したことを証明する修了証は、介護福祉士の願書に添付してしまうためです。

 

原本提出になりますが、試験を再受験する場合には、前年の受験票を添付するため問題はありません。
問題なのは実務者研修修了という実績で介護の仕事に従事する時です。

 

もし実務者研修しか修了していない場合で、介護の仕事を行うときは、その受講した学校に携帯用の修了証も発行してくれるように依頼しましょう。

 

現在ではほぼすべての学校で2枚の修了証を発行してくれるはずですが、万全を期すためにも必ず学校の職員に確認しておきたいものです。

 

発行された実務者研修の修了証が、介護業務に従事するための資格証の役割を果たします。
実務者研修を修了した場合には、初任者研修の資格証が改めて発行されるということはありません。

 

弊害について

初任者研修を受講しなくても資格が得られるという、一見お得な制度ですが、初任者研修を修了しているということは、基本的な介護技術が一通り身に付いているということになります。

 

ところが実務者研修の中では介護技術に関する実技演習がありません
もちろん何もできない状態で現場に出てしまっては、危険行為の恐れがありますから、先輩たちが教えてくれるはずです。

 

実務者研修の問題点

 

先輩たちに技術指導をさせてしまう時点で、すでに職場に負担がかかります。
さらに、そういった現場での直接指導は、技術が習熟するまで練習ができず、自己流になりがちです。

 

その結果、腰を痛めたり、利用者さんに負担がかかる介護をしてしまいます。
介護というのは知識だけでできるものではありません。

 

やはり基本的な技術を身に付けることが、長期的にはコストやリスクを抑えることに繋がっていきます。

 

結局、複雑になってしまった制度

全ての介護職員を介護福祉士にするという大きな目標の下、介護職のキャリアパスが一本化されました。
その一環として創設された実務者研修。

 

しかし、実務者研修が無資格者でも受講できるために、現場では上位研修修了者が無資格になってしまう問題が生まれました。
結局、介護福祉士を目指すための道がスタートの時点で2つできてしまい、制度上は初任者研修の存在意義が薄れてしまいました。

 

上位研修修了者が下位研修修了者よりも実技レベルが低くなりうるという問題も想定されます。
こうした制度上の齟齬を是正していくことが、今後の課題とも言えそうです。

 

資格を取ることを目的としないで!

介護の現場で働く上で役立つのは、「保持している資格」ではなく、現場で使える「知識とスキルと情報」です。

 

そこに、実務者研修だけを持っている人が混じることによって、現場は混乱します。

 

さらに、「私は実務者研修を修了した」というような自負や傲慢な態度が感じられたら、現場で既に働いている

  • 無資格のヘルパーさん
  • 介護職員初任者研修の修了者

はどう思うでしょうか?
決して良い気持ちはしないと思います。

 

つまり、そうなると仕事を気持ち良く教えてくれなかったりで、損をするのは自分自身なのです。

 

はやく介護業界で成長したいからといって、一個飛ばしで実務者研修から受講するのは、あまりお勧めできないのはそんな理由もあるからです!